6月に入り、梅雨とともに蒸し暑い季節が訪れます。引き出しの奥に仕舞っていたのを、この年齢になって使ってみる気になったのが、白い象牙の扇子。思い入れについては、もうひとつのブログに書いています。
子どものころ母の隣で風を受けた記憶では、とても良い香りがしたのに、今ではちょっとかび臭い骨董品です。それでも繊細な透かしが入った一枚一枚には汚れも欠けもなく、ネットオークションで落札相場を見ると、4万円ぐらいすることが分かりました。
香りづけの方法を考えて、思いついたのはオードトワレ。エルメス銀座店がリニューアルオープンしたときに買った、Eau de Ginza(オー・ド・ギンザ)がまだ少し残っていたのです。フランスの調香師ジャン・クロード・エレナが日本のために作ったという数量限定の香りで、エルメス・オレンジの巾着袋に入っているのが可愛くて購入しました。10年経って劣化が心配なので、肌に付けるのはためらいます。
用意したのは大き目のハンカチです。スプレーして扇子を包んでおけば、香りが控えめに移っていくでしょう。古い扇子と残った香水のコラボレーション。盛夏にゆらゆらと頬を仰ぎながら、昭和っぽい水玉模様のワンピースで、銀座の並木通りを歩いてみたくなりました。