テレビを見ていると、芳香剤・消臭剤のCMの多さに驚きます。部屋用、布用、トイレ用、車用、エアコン用・・・、用途に分けて買い揃えるほど、臭い対策にお金をかけるお宅が多いのでしょうか。
初めての飲食店に行ったとき、味やサービスは気に入ったとして、リピートを決める大きな要素になるのはトイレです。もちろん清潔さが第一条件ですが、トイレのドアを開けたとき、芳香剤の香りがするのはダメ。あの安っぽいケミカルな香りを何とも思わない、経営者の感性を疑います。排泄物の臭いを隠すためかもしれませんが、それは掃除が行き届いていないってことですよね。きっとキッチンも油と埃でベタベタしてるんだろうと、食欲が失せてしまうのです。
私はケミカルな香りを嗅ぐと鼻水が止まらなくなるので、家には芳香剤、消臭剤、お洗濯の柔軟剤さえ置いていません。とは言えジメジメした雨の日に外から帰ってきたときには、キッチンのゴミ箱からの悪臭や、猫の獣臭さが気になります。
そこで引き出しから取り出すのがお香。火をつけたらトンボ玉の香立てに刺し、備前焼の香炉に置いて、煙が空気に溶け込んでいくのを眺めます。今日は桜の香りがする紅色のお香を2本、桜模様のトンボ玉で楽しみました。心がリラックスしていくうちに、我が家ならではの懐かしい匂いに鼻が馴染んでいきます。
この香炉は10年前に鎌倉の実家を売却したときに持ってきたものです。陶芸家の個展で買ったそうで、親は応接間のキャビネットに大切に飾っていました。でも備前焼は実用品。使い倒すためにある焼き物だと思うので、私は毎日活用していますし、汚れたらゴシゴシとスポンジで洗います。猫も運動会の道すがら蹴とばします(笑)
我が家には絵画を除けば、ただ飾っておくだけのインテリアグッズなんてありません。ミニマルライフでは美術品も使ってなんぼ、壊れたり傷ついたりしたら諦めます。ご主人様の人間だっていつかは寿命がきて壊れちゃうんだから、モノにはモノの役目を全うして貰おうと思っています。