ミニマルライフとは、単に物を減らすだけではないと思っています。例えばクッキングなら電子レンジがあれば事足りるかもしれませんが、そこには料理をする楽しみやこだわりがありません。ある骨董品のコレクターから私は大切なことを教えて戴きました。
彼がドイツの蚤の市で買ってきたというこの古びた小鍋は、ポーチドエッグ専用鍋。下側に水を入れて沸かしたら、上側には卵を1個割り入れて蓋をし、好みの硬さになるまで火にかけます。
途中でお湯は吹きこぼれるし、柄を手に持てば火傷するしで、「カップに卵を入れて、電子レンジでチンしたほうが楽じゃないですか」と反論したら、頭をコツンと叩かれました。「卵1個に愛情を注いで料理する手間暇が大事なんだ。それが分からない奴はファミレスにでも行け!」
このとき教えてもらった料理は、ルッコラと白髪ねぎのサラダ。オリーブオイル、ろく助の塩、千鳥酢、黒胡椒で手作りしたドレッシングとあえたら、ポーチドエッグを上に乗せて、野菜と混ぜ合わせながら食べるのです。ドレッシングも市販のものなんて買わない。厳選した調味料だけでシンプルに作る。セレブリティなミニマルライフの片鱗に触れた思いでした。
ウグイスの鳴き声が聞こえてくる5月の日曜日。今日はポーチドエッグ、スモークサーモン、アボカドでオープンサンドを作りました。ランチは海が見える2階のベランダで戴きます。
健康的にショートパンツが履けるように、足だけ日焼けする昼下がり。まだまだポーチドエッグは上手にできませんが、植木鉢から摘み取ったローズマリーがとてもいい香りを添えてくれました。